


手入れの行き届いた生け垣の奥にたたずむ平屋建てのA邸。
数寄屋風の外観からは、高原に建つ別荘のような洋空間を内包していることなど、想像もつかない。
A邸は和と洋がそれぞれの特性を保ちながら、絶妙なバランスで融合し、独自の空間を創り上げている個性的な住まいだ。落ち着いた風情の玄関引き戸の向こうには、すがすがしい畳の間が広がり、格式高い料亭を訪ねたような感覚を覚える。夏障子の奥に見えるのが茶道をたしなむ奥さんのための和室と水屋。
下駄箱、上がりがまちなど、杉森建設の職人が得意とする日本の伝統的な技巧がA邸の随所に光る。
一方、西側の様相は玄関を境に一変する。大きな窓から深い緑を眺めることができるLDKは約25帖。
じゅうたんや調度品がエキゾチックな雰囲気を醸し出している。「キッチンを中心に全体をイメージしました」と奥さんが語るように、キッチンからダイニング、リビングにかけては、一つの空間でくつろいでいるような設計がなされている。
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| 住宅街にひっそりとたたずむA邸。建て替えにあたって家全体の配置はそのままに、間取りを全面的に変更している | 和室中央には茶事のための炉を切ってある。右手の水屋にも天井の網代をはじめとして職人の精密な技が施されている |
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| 「台所仕事をしていても、夫やお客さまと会話ができる」と奥さんに好評のキッチン。都会的なステンレスのキッチンセットが印象的 | 全面ガラス張りで、まるでホテルのような雰囲気のバス・トイレ。浴槽まわりには御影石、壁面には防湿・防腐効果のある木材を使用 |
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| 材木に造詣の深いAさんがこだわった玄関。とりわけ、奥の手すりに使われている根曲がり杉はお気に入り | キッチンの床下にライトを埋め込んでアクセントに |
A邸は、「これからのセカンドライフを楽しみたい」というAさん夫妻の思いがストレートに伝わる住まいだ。それは、LDKや和室といった主要な居室はもちろん、洗面室などの細部にも表現されている。
中でも浴室は全面ガラス張りの大胆な設計だが、庭の木々に遮られているため、外部からの視線がまったく気にならず、ゆっくり湯船につかることができる。壁に配した木材が癒しの効果をさらに高めている。
奥さんが気に入っている家事コーナーは、職人の手によるなぐり技法の壁面パネルがアクセントになり、長年愛用してきた家具ともよくなじんでいる。
季節の移ろいが、日々の暮らしに彩りを添えるA邸。Aさん夫妻のセカンドライフも四季のように華やいだものとなるだろう。
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| なぐり仕上げの壁面パネルがアクセントになっている家事スペース。家具は以前から使っていたものを、新しい家に合うように塗り直して再利用 | 栗の木の表面をたたいて模様をつくった「なぐり仕上げ」の上がり。職人の技が光る | 約25帖のLDKは、絶妙なバランスで和洋が混在。中霧島壁とチーク無垢の床材が落ち着いた雰囲気を醸し出している |